裁判年月日 : 令和3年11月30日
事件番号 : 令和2(ク)638
引用元 : 最高裁判所判例 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90733
判示事項
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項3号と憲法13条,14条1項
裁判要旨
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項3号は,憲法13条,14条1項に違反しない。
(反対意見がある。)
参照法条
憲法13条,憲法14条1項,性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項3号
反対意見
裁判官宇賀克也
”私は,多数意見と異なり,性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下「特例法」という。)3条1項3号の「現に未成年の子がいないこと」という要件(以下「3号要件」という。)は,憲法13条に違反するものであるから,原決定を破棄すべきであると考える。その理由は,以下のとおりである。
(中略)
…以上検討したように,3号要件は,憲法13条で保障された前記自己同一性を保持する権利を制約する根拠として十分な合理性を有するとはいい難いように思われる。未成年の子の福祉への配慮という立法目的は正当であると考えるが,未成年の子がいる場合には法律上の性別変更を禁止するという手段は,立法目的を達成するための手段として合理性を欠いているように思われる。 したがって,特例法3条1項3号の規定は,人がその性別の実態とは異なる法律上の地位に置かれることなく自己同一性を保持する権利を侵害するものとして,憲法13条に違反すると考える。”